見どころ紹介

(2)人形町浜町散歩(鎧橋−新大橋1.6Km)

●親慈橋(おやじばし)跡
 吉原を開いた後北条氏浪人庄司甚右衛門によってかけられた橋という。江戸時代は親父橋と呼ばれていた。「親父」とは甚右衝門の通称であったらしい。「親慈橋」と改められたのは維新後のこと。昭和24年、東堀留川の埋め立てによって撤去された。

●玄冶店(げんやだな)跡
 ここは、江戸初期の幕府お抱えの名医岡本玄冶が拝領した屋敷地のあった所。一帯の町屋をのちに玄冶店と呼ぶようになった。「たな」とは借家の意であるとする説もある。戯曲「与話情浮名横櫛」の切られ与三郎がお富をゆすりにかかる「源氏店強請の場」で有名。また幕末の浮世絵師歌川国芳も、玄冶店の住人であったという。

●釜屋もぐさの大釜
 釜屋は、万治2年(1659)に創業された老舗のもぐさ店。防火用に店先に置かれていたという鋳鉄製大釜は、現在鍔から上の約3分の1の部分が保管されている。縁には、天保6年(1835)に改鋳した鋳物師釜七の銘文が見られる。

●穀物取引所
 明治16年(1883)蠣殻町に東京米穀取引所が設立された。銀行や証券会社が林立し、日本の資本主義経済の出発点となった日本橋界隈で、同町は「米の町」として活況を呈した。 現在は東京穀物商品取引所。昭和4年西洋風に改築された。

●谷崎潤一郎生誕の地
 「痴人の愛」「卍(まんじ)」「細雪」など耽美的な文学作品で知られる谷崎潤一郎は、明治19年(1886)蠣殻町の谷崎活版所で生まれた。同活版所の新聞が告げる米相場は「谷崎物価」と呼ばれ、大いに反響を呼んだ。その後家は没落し、関東大震災の時に潤一郎は関西へ移住する。以来30年余りを関西で過ごしたわけだが、「江戸っ子がる人に真の江戸っ子はいない」といつ彼の言葉には、日本橋で生まれ育った者の誇りが感じとれる。

●蠣穀銀座跡
 貨幣政策として金・銀・鋼三貨併立制をとった徳川家康は、江戸本町の金座に引続き、慶長17年(1612)現在の銀座丁目に「銀座」を開いた。銀貨の鋳造を幕府から請負った大黒屋の作業場である銀座は、享和元年(1801)不正事件による組織改革で日本橋蠣殻町ヘ移された。蠣殻町銀座は、明治2年(1869)造幣局が新設されるまで68年間続いた。

●大観音寺
 総高17Ocmの鉄造菩薩頭を本尊とするユニークな寺である。この菩薩はもと鎌倉新水寺の本尊であったが、鎌倉時代に火災にあい、後に古井戸から頭部だけが掘り出された。その後鶴岡八幡宮に置かれたが、明治維新の神仏分離令による処分を逃れ、明治6年(1873)東京深川に搬出された。同9年現在地に四層楼を建て安置したのが当寺の起源とされる。

●甘酒横丁
 明治時代、横丁の入口にあった甘酒屋尾張屋にちなんで名づけられたという。市村・中村両座の芝居小屋が繁栄し、人形浄瑠璃の人形師たちの店が軒を並べた人形町と、大名屋敷が連なる武家地だった浜町とをつなぐこの横丁には、今でも三味線屋、せんべい屋、つづら屋といった昔ながらの古風な店が多い。

●水天宮
 文政元年(1818)筑後国(福岡県)久留米藩主有馬頼徳が領内の水天宮から江戸芝赤羽根の上屋敷に勧請し、明治5年(1872)現在の地に分祀された。中央に安置された弁財天は日本橋七福神の1つ。安産と水難、水商売に御利益があるといわれ、毎月5日の縁日は大勢の人で賑う。特に五字の神呪文字からなる安産の御守「いつもじ」を求めにくる若夫婦の姿がよく見られる。

●清正公堂
 旧肥後藩(熊本県)の庭園だった浜町公園にあるこの公堂は、文久元年(1861)藩主細川斎護によって創建された。文禄・慶長の役(1592、1597)で勇名をはせ関ケ原の戦い(1600)によって肥後国藩主となった武将加藤清正は、戯曲にも取材されて人気が高く、一般の参詣も許されていた。

●震災避難記念碑
 関東大震災時、奇跡的に被害を免れた新大橋。その橋上で命をとりとめた人々が新大橋避難記念会を結成、昭和8年記念碑をたてた。碑文によれば、震災の夜、橋上には数万人の群衆がひしめき、足下には濁流、両側からは猛火が迫っていた。この時警官や在郷軍人ほか有志の人々が冷静な判断のもとに、怯える群衆を誘導し、燃えやすい荷物を川へ捨てさせて飛び火を防いだという。

●御舟蔵の碑
 幕府船舶の格納庫、御舟蔵は、1600年代に、現在の東日本橋=両国橋の西側のあたりの位置から、この地へ移転したといわれる。寛文年間(1661〜73)に御舟蔵前町が起こり、廷宝7年(1679)の「増補江戸大絵」には、すでに御舟蔵と安宅丸が描かれている。大小14の船蔵が、川沿いに長さ3町(約328m)面積4990坪(約16137u)の敷地に建ち並び、明治稚新の際には38隻の舟が収容されていた。

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