見どころ紹介

(1)お江戸日本橋散歩(大手町−鎧橋1.8Km)

●常盤橋・渋沢栄一像
 ここは江戸城外郭の正門。常盤橋は江戸最古の橋といわれる。現在、公園内には桝形門の巨大な石垣のみが残され、石垣保存に功績のあった渋沢栄一の銅像が戦後建てられた。

●金座跡
 幕府直轄の金貨鋳造・鑑定・発行所が即ち金座。当初は江戸、駿府、佐渡、京都の4ヶ所に置かれ、江戸中期までに江戸座のみを残して廃止・縮小された。明治2年(1869)の造幣局設置とともに金座は姿を消したが、昭和に入ってから金貨が発掘され、大騒ぎになったという。

日本銀行 
 金座跡地に日本銀行が落成したのは明治29年(1896)。現在旧館と呼ばれる建物は日本人建築家による初の本格的西洋建築で、設計担当は、後に明治建築界の大御所となった辰野金吾。重要文化財に指定されている旧館、日本銀行関連の多様な史料を展示した史料展示室、新旧営業場などの見学案内を行っている(無料)。3か月前から1週間前までに電話で事前予約。
問合せ:情報サービス局広報課 03-3279-1111(内線4646、4648)

●十軒店跡
 雛市の名所として知られた十軒店。桃の節句、端午の節句に人形を売る店が十軒あったことから、この名があるといわれる。寛政2年(1790)には41軒もの出店が並び盛況をなしたが、現在残る人形店は一軒のみ。280年余にわたつて受継がれたその伝統は、五代将軍綱吉が京より招いた雛司たちに始まるという。

●樽屋藤左衛門屋敷跡
 江戸町年寄樽屋藤左衛門は本姓を水野。長篠の役(1575)で信長に酒樽を献じ、樽屋と改名した。江戸町年寄の設置は、家康入府の天正18年(1590)。以来樽屋はこの役職を世襲し、幕末に至るまで江戸中の名主の上に君臨していた。

●越後屋跡
 三越百貨店の前身、三井越後屋の開店は延宝元年(1673)。初期江戸を焼き尽くした明暦大火以後に登場した新興勢力である。客がいちいち交渉して値を決めねばならず、支払いも盆暮勘定の多かった当時にあって、越後屋が始めた「現金安売り、掛け値なし」の新商法は、旧勢力を圧倒した。

●日本橋・道路元標・日本橋由来の碑
 日本橋が架けられたのは慶長8年(1603)江戸開幕の年である。翌年、五街道の起点と定められた。今日でも主要な国道は、ここを起点として測定され、路面中央には日本国道路元標が埋め込まれている。現在の橋は、明治44年(1911)架設。橋柱の文字は15代将軍徳川慶喜の筆による。


●大栄ビル
 旧帝国製麻。大正元年(1912)、辰野金吾による設計。同じく辰野の手になる東京駅(1914)とは様式的に兄弟といえる。

●日本橋魚河岸跡・三浦按針遺跡
 家康入府とともに摂津佃村から佃島に移住した漁師森孫右衛門の子九右衛門が、慶長年間許可を得て、ここに魚市場を開いたのが始まり。市場の中心は北岸の本船町、小田原町、安針町(現在の本町1丁目、宝町1丁目)。安針町の名は、イギリス人ウイリアム・アダムス、日本名三浦按針に由来する。オランダ船リーフデ号の航海士であつた彼は、慶長5年(1600)九州豊後に漂着した後、家康、秀忠の外交・貿易顧問として活躍。矢田挿雲の説によれば、魚市場のシステムは、領地三浦の漁民とはかって英国の市場取引の方法を移植した彼の発案に基づくといわれる。大正時代までここにあった魚河岸は、大震災での焼失を機に築地へ移された。

●海運橋石柱
 江戸中期に海賊橋、将監橋と呼ばれたのは、東橋詰に海賊奉行向井将監の屋敷があったため。明治元年(1868)、縁起のよい海運橋に改められた。石柱西側の高速道路はかつての楓川。兜橋、千代田橋、新場橋など数多くの橋が架けられていた。

東京証券取引所 
 前身である東京株式取引所は、明治11年(1878)の開設。主唱者は渋沢栄一。当時「公認の賭場を開くとは何事か」との非難を浴びた。しかし渋沢自身は相場に手をださなかったという。大正15年(1926)建築の有名なギリシャ・クラシック様式の建物は戦後の接収などを経て昭和60年に新立会場が開かれるまで使用された。その後、会員証券会社の売買執行の迅速化やコスト削減等の理由から、株券売買立会場は1999年4月30日に閉場され、跡地は東証Arrowsとしてリオープンされている。

●兜神社
 明治11年、東京株式取引所開設の際に、関係者一同が創立。三条実美筆の「倉稲魂命(稲荷大神)の神号札を安置した。現在地に移ったのは昭和2年。社殿左の兜石には、源義家や俵藤太秀郷にまつわる伝説が残されている。

●鎧の渡跡
 往古このあたりは広い入江で、奥州征伐に向かつた源義家が海上暴風雨にあい、鎧を海に投じて竜神に祈願したと伝えられる。明治5年(1872)の架橋によって江戸以来続いた渡船場は姿を消した。橋の南詰には現在でも川へ降りる階段が残っている。

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