●品川歴史館庭園と水琴窟
昭和60年に開館した品川歴史館。館内には区の変遷を示す貴重な史料が展示されているが、もう一つの顔は敷地内の風雅な庭園である。渓流を思わせる二本の流れを中心に茶室や本橋を配した凝った造り。その閑静なたたずまいの一角に水琴窟がある。この水禽窟は、歴史館建設中に敷地から発見されたもので、昭和の初期頃に作られた古いものを再現したものである。これを契機に全国各地の庭園で作られるようになったが、それぞれの音色は異なるものだ。
水琴窟は、手水鉢などの近くに小さな洞窟を造り、その中に落ちる水滴の音を反響させて響きを楽しむという装置。小堀遠州により考案された日本造園技術の粋を究めたものといわれ、江戸明治時代には各地の庭園に設けられたが、それ以降は衰退していたものだ。しかし、人間の耳に入るその水音は近年の京都大学医学部の研究によると、人間の左脳を刺激し、物事を考えたり、創造する力を養うなどの効果があるという。
水が流れ落ちる小さな穴に竹筒を当てて耳をすますとやがて地下の洞窟が幽玄な音色を奏でる。残念ながら車の騒音に妨げられて、本来の音はなかなか聞けないそうだが、館内には交通量の少ない真夜中に録音したテープが設置されでいる。
開館時間:午前9時〜午後5時(ご入館は4時30分まで)
休館日:月曜・祝日(月曜が祝日の場合その翌日も休館)・年末年始(展示替えなどの臨時休館もあります)
観覧料:一般:100円、小中学生50円(20名以上の団体は2割引)
70歳以上の高齢者・障害のある方(および介護の方1名)は無料 ※特別展のときは別料金
品川区大井6-11-1 03-3777-4060
●鈴ケ森刑場
千住の小塚原と並ぶ江戸の御仕置場(処刑場)。2つの刑場の選択は受刑者の犯行地に近い方とし、江戸出身の者は日本橋を境に以南は鈴ヶ森、以北は小塚原とした。鈴ヶ森の設置は慶安4年(1651)。同年の由比正雪の乱に関わった丸橋忠弥が最初に処刑された人物と言われる。辻斬り強盗の白井権八、火付けの八百屋お七、不義密通の白木屋お駒、将軍吉宗の御落胤と称した天一坊等々、歌舞伎・講談のモデルになった処刑者も数多い。
江戸時代の刑罰は過酷なもので、10両(米10石に相当)盗めばもう死刑。何度か盗みを働いたその合計が10両を超えても同様だった。処刑方法は主に磔、火罪、獄門(晒し首)。江戸時代初期には、鋸挽、牛裂、釜煎等の戦国時代の酷刑も受け継がれ、鈴ヶ森の波打際では、罪人を逆吊りにして潮の満ち引きで徐々に溺死させる水磔が行われていた。これらはいずれも公開刑で幕府はその威信を誇示した。遺体は放置されたため、鈴ヶ森の周辺は「穢臭を風吹送て堪がたく、且刑場にて屍を喰馴たる犬ども蔽落(かきね)を踰(こえ)来れば、小児など、うかと戸外に出し難」(『甲子夜話続篇』)という有様だったという。明治4年(1871)廃止.なお、刑場跡北の大経寺は処刑者供養のために建立されたものである。
参考:中公新書「江戸の刑罰」
●浜川橋(なみだ橋)
立会川(浜川)に架かる橋。鈴ヶ森まで罪人が護送される途中、親族が秘かにここまで見送りに来て涙の別れを告げたことから一名なみだ橋という。立合川河口付近はかつては浜川町と呼ばれ、品川海苔生産の中心地であった。目黒・立会川からの真水が海水と適当に混ざり合い、海苔の生育に適していたためという。
●浜川神社
天明年間(1781〜1789)の創建以来、修験者が堂を守り、厄神を祀って信徒を集めてきたという。鈴ヶ森厄神祭の析には参詣客で賑わったとも記録されている。地域の鎮守社ではないため氏子はない。
●大井の水神
貞享2年(1685)、大井村の農業用水の潤沢を祈って勧請されたもの。かつては境内の小さな池に湧水が流れ込んでいたが、現在はポンプで汲み上げている。なお、近くの光福寺には大井の地名の由来になったともいわれる大井の井があり、こちらは今なお湧水をたたえている。
●富岡美術館(リニューアルのため15年中は休館)
実業家宮岡重窯氏の遺志を受け継いで昭和54年に開館された。東洋陶磁器、古美術、書禅画等、約900点が収蔵されている。
開館時間:10時〜16時。
入館料:大人500円・小中高枚生300円
休館日:月曜日(祝祭日の場合は翌日)年末年始、展示替え期間
問い合わせ:03-3771-1054
大田区山王2-13-3
●山王草堂記念舘
日本初の総合雑誌「国民の友」を発刊した徳富蘇峰は、大正13年(1924)この地に居を構え、山王草堂と称した。昭和61年に大田区は敷地を蘇峰公園として整備し、旧居の一部を保存公開するため記念館を建設。
交通:馬込銀座バス停徒歩約5分
開館時間:午前10時〜午後4時30分
休館日:年末年始
入館無料
大田区山王1-41-21 03-3778-1039
●北原白秋住居跡
北原白秋が昭和2年に住んだ家。萩原朔太郎は詩界の大先輩が文士村の−異になったことを大いに喜んだが、翌年白秋は引越した。白秋は上京から死去までの37年間に27回も転居した引越し魔であった。
●万福寺
建久3年(1192)梶原景時が源頼朝の命で大井に創建し、後に現在地に移転したとされるが定かではない。初めは密教寺院であったが、曹洞宗に改宗した。
●大田区立郷土博物館
開館は昭和54年。大森貝塚や海苔養殖、馬込文士村等に関する史料が展示されている。体験学習会、映画会、講座等を随時開催。
交通:万福寺バス停徒歩約1分、都営浅草線西馬込駅徒歩約7分
開館時間:午前9時〜午後4時30分
休館日:祝日を除く月曜、休日、年末年始、臨時休館ほか
入館無料
大田区南馬込5-11-3 03-3777-1070
●熊谷恒子記念館
現代女流かな書道の第一人者熊谷恒子の住居を没後、記念舘として改修したもの。作品約100点のほか、書道関係の書籍などを収載。
交通:万福寺バス停徒歩約5分
開館時間:午前9時30分〜午後4時30分
休館日:月曜、年末年始、特別整理日
入館料:大人16才以上100円、小人6才以上50円
大田区南馬込4-5-1 03-3773-0123
●龍子記念館
スケールの大きな作品を描いた日本画家川端籠子(1885〜1966)が、昭和37年に自宅前に建造した美術館。龍子の作品を展示している。川端龍子は馬込文士村の住人の一人。建物は龍子自身が設計したもので、タツノオトシゴの形をしている。後に大田区の施設となり、平成3年新たに開館された。記念館前のアトリエも公開している。
交通:臼田坂下バス停徒歩的3分
開館時間:午前9時〜午後4時30分
休館日:月曜、年末年始、特別整理期間
入館料:大人16才以上200円、小人6才以上100円
大田区中央4-2-1 03-3772-0680
●赤毛のアン・村岡花子記念文庫
赤毛のアンの翻訳者村岡花子の書斎を復元。毎月数回、個人宅の一部を開放する関係で、電話予約による事前申し込み制となっている。団体での見学には不向き。(5〜6人のグループまでならOK)
ここで見学できる日時が確認できる。
入館料: 有料(予約の時に確認)
赤毛のアン・村岡花子記念文庫:
大田区中央3-12-4 03-3771-0870
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